周りは薄暗くもう夜に近づこうとしていた。それでもライモンシティの活気はなくならず、賑わっていった。しかし……ここでは二人のトレーナーが戦っていた。

「ガーディ かみくだく」
 ガーディは一直線にいる相手のポケモンハーデリアに向かって攻撃を繰り出した。ユウキは先程やられたシママに変えてこの間捕まえたガーディをバトルに出していた。
「……かわして とっしん」
 しかし……相手のハーデリアのスピードはすさまじく攻撃をあてようとするとカウンターで、当てるどころかこっちが攻撃を受けてしまう。
「ガーディ!」
 攻撃を受けたガーディは、吹き飛ばされてその場に倒れてしまった。
「ぐ……くそ!」
 このバトルは負けられない……負けられないがまだ一回も相手に攻撃を当てられていない。
「……これだけやってもまだわからない? あなたは私には勝てないって事……これであなたの言っていることは間違ってる事になったことになるわ。絆など友情など心など……それは弱者の言い訳に過ぎない。」
 今のユウキには言い返す気力も残っていなかった。しかし……ユウキは諦めてはいなかった必ず勝てるそれだけを、思いながらここまでバトルしてきたユウキにとってそんな言葉ただの挑発にしか聞こえてこなかった。
「……お前に一つだけ教えてやるよ。いま戦っているガーディは、一度心を閉ざしたんだ。でもな……それで分かったことがあるんだ。ポケモンにしろ人にしろ、簡単に心は捨ててれないってことを……その証拠に今ガーディは俺と共に戦ってくれている! だからお前には負けね……絶対にな!。
ガーディ! ほのうのうず」
すると、ガーディは立ち上がり炎タイプの技のほのうのうずを繰り出した。しかし、ハーデリアは即座にかわし相手のトレーナーの指示を待っていた。
「当たらないと分かっているのに……バカね……まあいいわ今度はさっきの再現をしてあげるわ。ハーデリア、ギガ……」
 指示を出そうとした瞬間相手は何かに気づいたようだ。
「これは……」
 正確には指示が出せなかったが、正解だ。そう……ハーデリアの周りは先程のガーディのほのううずで、炎が凄い勢いで囲んでいた。
「自慢のスピードもこれじゃ動けないだろ」
 すると、その奥からユウキがゆっくりと歩いてきた。
「まさか……地形を利用して動きを止めるなんて、雑魚が……」
「大体ここは芝生広場って言うぐらいだ。周りには、木や草……燃えやすいものばかりだ……。逆にこれを利用しない方がおかしいだろ。」
「……」
「ここからが、本当の勝負だ。ガーディ かえんほうしゃ」
 ハーデリアの周りは、炎がまわっており、とても攻撃できない状況ではない。その隙をユウキがついてきた。
 かえんほうしゃは、ほのうのうずと重なりさらに炎の大きさが大きくなった。その炎は、ほのうのうずに閉じ込められているハーデリアに、的中しかなり効いたようだ。
「一気にいくぞ、ガーディ かえんぐるま」
 たたみかけるように、ユウキはガーディに指示をした。かえんぐるまは周りの炎も巻き込み通常よりとても大きくなった。先程かえんほうしゃによって、ダメージを受けて動きが鈍くなっていたハーデリアはかわしきれず、戦闘不能になった。
「どうだよ……お前の言ってた計算など個体なんとかなど、気にしなくてもこんなバトルができるんだよ。わかったか……」
 立ち込める炎の中で、ユウキはそういったが……
「……凄いけどこれで終わりよ……
 ……ミジュマル」
 すると、相手は水タイプのミジェマルを出してきた。
「ミジェマルか……水タイプは相性が悪いが……この炎の中でジャノビーは出せないな……」
「……ミジュマル シェルブレード」
 ユウキが考えていると、相手は早速技を出してきた。ユウキは、指示を出そうとしたその時……
「は……」
 なんと、こちらにガーディが飛んできて後ろの木にぶつかり戦闘不能になってしまった。いきなりの事に、状況がわからなかったが後ろを見てすぐわかった。
「ガーディ!」
 ガーディの元へ駆け寄ったが、もう立つこともできないぐらいの状態だった。ユウキは即座に、モンスターボールに戻した。
「ガーディ、ゆっくり休んでくれ……。」
 気がつくとミジェマルは、相手の元へと戻っていた。ユウキには、ミジェマルの姿がまったく見えてなかった。
 ユウキは、それを見て……

「これが……お前の最速か…………」
「そう……これが私の最速……そして
もうこのバトルも終了……」

 相手が何を言っているのかわからなかったが……その意味はすぐ分かった。相手のポケモンのミジェマルは、ユウキに迫ってきた。


「なぜなら……あなたがやられるから
さっきのポケモンのように……」

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